元不動産営業マンが考える建売を購入する際に気を付けておきたい事12選
こんにちは、genです。今回は、
2、建売住宅を安心して購入したいけど、どうしたら良いかな?
3、建売購入の際の諸経費を知りたいけど、何にいくら必要なのかな?
こういった疑問を持っている方向けに書きました。
僕が建売会社勤務時にお客さんや仲介業者から聞いた意見、要望を参考にして作成しています。
では、早速解説していきます。
■1、建売業者から購入する際に気を付けた方が良い点12選
①補修がきちんとされているか(なぜ許容範囲なのか)
引き渡し前の立ち合いに内覧会が行われますが、補修箇所を自分でもチェックを入れた方が良いでしょう。
どこにどの程度の補修があり、傷の度合いによってはきちんと直るのか決を取った方が良いです。
ある程度は人が作るものなので、出来不出来はあると思いますが、納得がいかないものは確認し、どのような形になるのかは確認しておいた方が良いでしょう。
例えばクロスの浮き、建具の傷等、完成物件で内見が多く行われていたらある程度の傷は仕方がない事です。大きい傷に関しては建売業者の方でも気づいて直してもらえると思いますが、細かな傷に関しては見逃しガチです。
きちんと買主側でもどんな傷があったのかは確認を入れた方が良いでしょう。
②アフターサービスの内容
基本的に建売住宅の場合にはアフターサービスの内容は手薄いですし、定期的な点検はないです。その為、頼りになるのはアフターサービスの基準書です。
この基準書をもとにアフターサービスを行っていきます。防蟻や防水に保証、地盤の保証書などが発行される所もあると思いますが、その他の傷に対する対応なども記載されているでしょう。
傷や不具合が有ったら経過を待たずに直ぐに建売業者に連絡して対応してもらいましょう。内容によっては対応してもらえないかもしれないので、その場合には自分で補修を入れる必要もあるということは考えておいた方が良いです。
③レビューや口コミのチェック
過去の買主さんからの感想、成約事例に関しての口コミやレビューは事前にチェックを入れておいた方が間違いないです。
初めていく食べ物屋さんに行くときもレビューをチェックするように、より高額な建売住宅の商品を購入するのですからどういう評価をされているのかを確認することで失敗する可能性が下がります。
心配なことがあれば仲介を通じて事前に質問しておいた方が良いでしょう。
④自分が望んだ家具の配置が出来るのか
引き渡し前の立ち合い、内見時には家具の配置やエアコンの配置などを検討する為にメジャーを持ってくる人も多いです。
3階建ての建物であれば3階部分が斜めに削れている建物を何度か見たことがあると思いますが、あれは斜線制限のせいで削れています。
隣地の建物の日当たりを確保する為に削れていたりします。その為、3階部分にエアコンや家具を配置する時にはどうしても斜線制限に寄る建物の斜めになっている部分が干渉したりします。
窓や配管の問題でどうしてもそこに配置するしかない場合もあり、自分の理想とする配置にはならないかもしれません。
家具やエアコンを買って入れようと思ったら入らないなんて事もよくある話なので、事前にチェック、検討してから購入した方が良いでしょう。
⑤収納スペースのチェック
エアコンや家具の配置の確認と同じで収納スペースも確認しておくと良いです。狭小の建物であればあるほど収納スペースは削られている可能性が高いです。
収納スペースが小さければ小さいほど家具を置く必要があるので、その分部屋の使える有効スペースは減ります。
何帖と部屋の大きさをあてにして実際に住んでみたら家具で埋まってしまい、全く他の物を置くスペースがないなんてことはよくある事です。
下手したら車庫部分に倉庫を配置したり、レンタルスペースを借りる必要も出てくるかもしれません。
⑥洗濯機置き場の位置、大きさのチェック
狭小の建物あるあるですが、洗濯機置き場と洗面脱衣室が別、洗濯機置き場も別というのは有りガチな状態です。
階段下に配置されている事もありますし、2階にある可能性もあります。実際に生活する上でベランダが3階のみ、2階に洗濯機置き場がある事もあり、生活してみると不便に感じる事もあると思います。
予め洗濯機置き場の配置が決められていたら変更はできないので、事前に確認しておいた方が良い項目です。
⑦ベランダの防水加工チェック
一般的には防水の加工がされているので、雨が降れば弾いて排水してくれると思いますが、防水加工がされてないとベランダに水たまりができてしまい、苔が生えたり、虫が寄ってきたりしてしまいますので、確認しておいた方が良いでしょう。
⑧扉を開いた時にどこかに干渉しないか、変な音がしないか
基本的にチェックしている項目ですが、見落としが無いか自分でも確認するようにしましょう。立て付けが悪く、がたついていたり、干渉するようだったら部屋の出入りも制限されますし、万が一大きな家具や冷蔵庫などの搬入を考えていた場合にはぶつかってしまいます。
事前にチェックして指摘しておくことで引き渡し後のいざこざをなくす事が出来ます。
⑨下水の排水方法について確認する(深基礎、水が逆流する)
先ほどの斜線の緩和の為に建物全体を少し沈める、基礎を高くする様な設計にする場合があります。深基礎や高基礎と呼ばれる施工方法ですが、この場合に全面道路の下水との勾配が取れていない場合に排水処理が追い付かずに水が逆流してくる可能性があります。
排水が十分に行われない場合にはポンプを使用して排水を強制的に行っていたりします。
建築確認図面や契約書に記載されていることが多いのでわかるようになっていると思いますが、確認した方が良い項目の一つです。ポンプが無いと排水が上手く行われないことも考えられます。
⑩周辺環境についても確認しておく(工場、クリーニング屋、ペットショップ、川の近くなど)
新築の物件が建って急に日当たりが悪くなる、クリーング屋や工場が出来て騒音や異臭が立ち込めるなどはよくある事です。
こういった項目は契約書にも載っていない項目になるので、事前に仲介業者に聞いたり、自分で調べるしかない所です。
住みだしてから急に環境が変わったりしたら住みずらくなってしまうと金額以下の価値に感じてしまいますので、確認しておきましょう。
⑪車庫の大きさ(幅、高さ)
販売図面で確認できたりする項目ではありますが、大型の車を入れようと検討していたのに入らずに別に駐車場を借りたりしないといけないということも考えられます。
都心部の新宿区、中央区、港区などであれば駐車場を別に借りるということはよくある話ですが、車の使用頻度が高い場合には車庫があるのとないのとでは大きな違いです。
駐車場代が掛からないのが建売や戸建てのメリットなのに使えない状態だと建売住宅を買った意味もないです。
購入前に実際に車庫入れはできないので、メジャーを使って事前に確認するようにしましょう。
⑫エアコンの配置、配管、室外機の位置
室外機の位置に関しては意外と見落としがちな項目です。エアコンは置けても配管の関係でベランダに置けない、屋根の上や外壁に付けたりする事もあります。
室外配管ではできずに、室内配管になる事もあります。エアコン業者に見てもらわないと正確にわからない事ですが、建売住宅としてどの様に配管するのかは考えて設計されているはずです。
賃貸から建売に住むとなった時にそれだけのメリットがあるのか、価値が在るのかは検討した方が良いです。
何千万とする高額な家を住宅ローンを組んで購入するのですから、引き渡し前にきっちりした状態で住める様に自分で補修箇所はチェックしておき、住んでから不具合が無い様に確認しておきましょう。
■2、建売住宅を安心して購入する為に
一番は欠陥がないかどうかという点が心配ではないでしょうか?そういった時の確認にお勧めなのは、「ホームインスペクター(住宅診断)の利用」です。
ホームインスペクターとは?
ホームインスペクション(住宅診断)は、住宅に精通したホームインスペクター(住宅診断士)が、第三者的な立場、また専門家の立ち位置から、住宅の劣化状況、不具合事象の有無、改善すべき箇所やその時期、おおよその費用などを見きわめ、アドバイスを行う専門業務を指します。(日本ホームインスペクターズ協会より引用)
ホームインスペクションは一般的には中古住宅の売買の際に使われる事が多いですが、新築であっても建物の詳細な所まで個人で見て判断するのは不可能な為、利用する人が増えています。
利用するタイミングとしては、引き渡し前の立ち合い(内覧会)や補修前などに入れる事が多いです。見てもらいたい箇所が多いと時間がかなり掛かるので、利用する場合には仲介業者及び建売業者に許可を取り、日程の確保をするようにしましょう。
代表的なホームインスペクションを2社紹介します。
■3、建売購入の際の諸経費について
諸費用の計算方法としては、購入価格の5~10%と言われています。5000万円の建売住宅で250~500万円位が目安になります。
●手付金(100~300万円程度)
購入金額の5~10%程度が目安。契約をキャンセルした場合には返却されないお金になります。大体100~300万円程度で考えておいて問題ないです。
●固定資産税・都市計画税
数万程度。1月1日時点で不動産を所有している者が支払う税金。買主側は日割りで計算して、名義が変わった日から年末までの分を支払う事になります。
●火災保険証・地震保険料(20~50万円程度)
一括で約20~50万円程度。保証内容を増やすと金額はもう少し高くなる可能性はあります。
●登録免許税(物件価格の1%以内)
法務局などの登記所で、登記簿へ記載する「所有権移転登記」が必要。登記する事で該当する土地や建物を誰が所有しているのかを証明する事になります。物件価格の1%以内。5,000万円で50万円弱が目安と考えておけばオッケーです。
住宅ローンを借りた場合にはここに抵当権も登記される事になります。抵当権は金融機関が土地や建物を担保にして住宅融資をするものです。
●仲介手数料(物件価格×3%+6万円+消費税)
例えば物件価格が4000万円の建売を購入する場合
4000万円(売買価格)×3%+6万円+1.1%(税率)
=138万6000円
138万6000円が仲介手数料の上限額になります。
●印紙代(2~6万円程度)
国税庁HP参照(令和3年5月現在)
売買金額によって前後しますが、大体2~6万円程度と考えておいて問題ないです。印紙が必要なルールとして、
・その書面をもう一方の当事者に渡す場合 :印紙を貼る必要あり
というのがあります。これに該当しなければ印紙の添付は必要ありません。
●引っ越し費用
繁忙期:(120,000~300,000円程度)※4人家族
通常期:(110,000~230,000円程度)※4人家族
※SUUMOホームページ参照運ぶ距離、荷物料によ
って前後してきます。
●不動産取得税
土地や家屋の購入、贈与、家屋の建築などで不動産を取得した時に取得した方に対して課税される税金で計算方法は「課税標準額×税率」です。
住宅……課税標準額×3%
※課税標準額は総務大臣が定めた固定資産税標準額によって評価し、決定された価格(評価額)で、原則として固定資産税台帳に登録された価格を言います。
●新築住宅不動産取得税軽減制度利用条件
以下の床面積要件を満たす新築住宅は、住宅の価格から一定額が控除される。
下限 | 上限 | ||
一戸建の住宅 | 一戸建て以外の住宅 | ||
貸家以外 | 50㎡以上 | 50㎡以上 | 240㎡以下 |
貸家 | 50㎡以上 | 40㎡以上 | 240㎡以下 |
【控除額】
1,200万円
※当該住宅(建物)の価格が1,200万円未満の場合はその控除額が限度になる。
※土地に関しては1/2を乗じた金額になる。
例
土地……面積:100m2、評価額:1,050万円
建物……延べ床面積:90m2、評価額:1,250万円
軽減措置を利用した場合
土地…1,050万円×1/2=525万円(課税標準額)×3%=157,500円(土地の税額)
建物…1,250万円-1,200万円=50万円(課税標準額)×3%=15,000円(建物の税額)
不動産取得税計算ツール⇨不動産取得税 東京都主税局
●各所保険料(火災保険、地震保険)
5~20万程度。保証の内容によって変わってくる。
●住宅ローン借り入れ費用
借りる金融機関へ融資手数料や保証料・印紙料で3~5万円程度。
以上が建売を購入する時に抑えておくと後悔しない項目になります。
制度改正や時期に寄っては金額が変わってくるものもあり、一定ではない所はありますが、一般的に言われる金額は網羅していると思います。
一生に一度の大きな買い物となると思いますので、是非後悔しない様にして欲しいと思います。