建売会社に7年勤務して感じた建売のメリット、デメリット

Real estate

今回は買主さん目線の記事で以下の3つについて書いていこうと思います。

・建売を購入しようか考えているけど、メリット、デメリットって何?
・購入時にはどういう点を気を付けて選べば良いの?
・建売、注文住宅、マンションと結局どれが一番良いの?

こういった疑問に答えていきます。

信頼補填の為に僕の実績ですが、
・不動産(建売会社)の営業として7年間勤務
・入社5年目に店舗責任者として20人弱の店舗の責任者として管理・マネジメントを経験
・不動産の売値を決める市場調査(マーケティング業務)はトータル500件以上
・年間約100棟弱の土地の仕入れに関与。販売契約は100件以上経験してきました。

こんな僕が解説していきます。

建売のメリット

①駐車場代が掛からない
マンションと建売との差別化で大体の建売物件に関しては、車庫があらかじめ考えられて建築されています。その為、毎月の駐車場代が掛からずに車を止めることができます。

特に都心部だと駐車場代がかなり掛かるので、車庫があるのは大きなメリットですよね。

②割と安価で購入ができる
注文住宅やマンションと比べると安い金額で出している所が多いです。仕様関係に関しては少しグレードを抑えて売買価格を上げない様に建てている事が多いです。

あまりに金額が安い場合には以前の建物が事故物件、前面道路が交通量が多くうるさい、高圧線が建物の上を通過しているなど何かしらの理由があると思うので、確認した方が良でしょう。

③駅近、買い物が便利、交通の便が良い所に建築されている建売は資産価値が落ちにくい
建売業者が土地を仕入れる時に特に注意している点として、環境面特に「駅近」、「買い物が便利かどうか」、「交通の便」に関しては気を付けて仕入れをしています。

栄えている所、もしくはこれから再開発などで栄えてくる所に関しては年数が経っても土地の資産価値は落ちずらいです。むしろ資産価値が上がることもあります。また、オリンピックなどが決まると土地の値段は上がる傾向にあります。

売却してまた違う物件の購入を考えている方は注目して購入すると良いと思います。

④建物の仕様がほぼ統一されているので、完成イメージが付きやすい
未完成物件を購入する際に完成のイメージが気になりますよね。マンションや注文住宅だと完成イメージのパースと呼ばれるものは見る事が出来ますが、どういう仕様が使われているのか、キッチンやお風呂場はどういう感じになるのかイメージがしずらいと思います。

そんな時には建売だと他の物件も同じ仕様を使用して建てていることが多いので、他の完成物件を案内してもらって確認してもらい購入に至るケースが多くありました。

周辺環境や日当たりや前面道路の感じ、土地の形等は違ってきますが、なんとなくこういう感じになるんだなとイメージを持ちやすいというのがあります。

⑤建築のスケジュールの予測がつきやすい。
注文住宅と比べると完成までのスパンが短く、基礎工事から始まって大体3~4か月くらいで完成します。どんなに天候に恵まれない、いびつな形の建物で建築が困難な物件でない限りは3~4か月後には完成します。

その為、入学式や引っ越し、家具の手配などその他のスケジュールが組みやすいというメリットがあります。

注文住宅ですと打ち合わせをすればするだけ工期が不明確になり、建物が完成するまで、完成してから引っ越すまでのスケジュールは組みずらい所があります。

⑥資産にすることができる。
建売は建物と一緒に土地も購入することになります。建物はどうしても劣化していきますので、「資産」にはなりずらいですが、土地に関しては劣化はしませんので「資産」になります。

特に「人気の場所」、「人気の区」に関しては何年も土地が出てくるのを待っている人もいます。

そういう物件は資産価値が落ちないので、何年経っても資産価値が高い状態になります。例えば「文京区」や「品川区」、「渋谷区」などです。

「文京区」、「品川区」、「渋谷区」に関しては土地として出回っている物件も少なく、建売向きの物件もなかなか出てこないので、資産として持つ意味でも建売はおすすめです。

マンションだと土地は購入できないので、注文住宅と建売だけのメリットでしょう。

⑦土地探しや施工会社とのやり取りが不要
注文住宅にする場合には何度もやり取りをすることになりますし、土地から探そうと思えば自分で探せます。

建売の場合には土地は既に建売業者が探して購入しているので、完成していくのを待つだけです。

施工会社と間取りをああして欲しい、こうして欲しいという手間はないので、仕事が忙しい方は建売の方が良いと思います。

逆に「土地から探してそこに建物を建てたい」、「間取りも一から決めて理想の家に住みたい」という方は注文住宅が良いでしょう。一生に一度の買い物として完成した時には達成感も嬉しさも一塩でしょう。

僕は注文住宅にするならシアタールームを作りたいですね。

⑧支払いが一括で済む
建売の場合には土地と建物の両方を購入することになりますが、土地だけの契約、建物だけの契約にはなりません。

既に建売会社が土地の決済は終えていますので、所有者は建売業者に代わっています。その為、契約も決済も1回ずつしかありません。

注文住宅の場合には土地からの契約になる場合もあるので、土地の契約、決済、建物の契約、決済と4回あります。

それに加えて間取りの打ち合わせなど多忙になります。拘る所はこだわって、後は施工会社にお願いしてしまうというやり方もありますが、どうせ注文住宅で購入するのであれば拘って建築してもらうのが注文住宅の醍醐味でしょう。

煩わしいのが嫌だという人は建売にしておきましょう。

⑨建売でも未完成物件の場合には追加工事の費用を出せば多少の仕様変更や外壁の張り分けなど相談してもらえることもある

会社によってですが、多少の変更はできる可能性があります。例えば、風呂場の側面のタイルの色の変更、リビングなどの床の色の変更、キッチンの扉の色の変更、キッチン高さの変更、風呂をジェットバスにする、コンセントの追加工事、玄関ドアの色の変更、建具の変更などです。

勿論建売会社として多少利益を乗せて請求が来ると思いますので、通常よりは高くなります。ただ、完成してから業者を入れて工事をするより完成前に工事をすることができるので、完成時期が大幅にずれることもないですし、少しでも自分の理想の家にすることができます。

仮にコンセントの追加工事を入れたとして完成後に業者を入れて追加で工事してもらうより明らかに仕上がりが綺麗におさまるので、相談してみるのはありだと思います。

建売のデメリット

①修繕費がかかる。
マンションであってもかかる所ですが、建売住宅の外壁(サイディングなどの剥がれ)、外構周り(車庫、ブロック塀のヒビ等)、雨どいの破損などはマンションとは違い共有部分ではなく、自分で修繕する必要が出てきます。

マンションだと共有管理費から出して修繕してもらうことはできると思いますが、戸建ての場合にはそうもいかないです。

この修繕を怠っていると仮に売却して他の家に引っ越そうと考えて相場の査定をしてもらうと建物の価値はほとんどなく、ほぼ土地のみの査定になってしまうので、買い替えを考えている人は修繕は小まめにしておいた方た良いでしょう。

②施工会社のアフターサービスがない場合には他の会社に頼んで点検、修繕を依頼することになる
基本的には建売の場合には売ったら売りっぱなしになってしまう所ですが、ある程度の期間は「無償で」点検をしてくれる場合もあります。それが「アフターサービスの基準書」になります。

決済時もしくは契約の際に売主や施工会社から説明があると思いますが、この基準書をもとにアフターサービスを受けつけているので、「期間と箇所」についてはここでよく確認しておいた方が良いでしょう。

ただ、修繕する箇所や期間によっては有償となる事もあるので、保証期間等を確認してから依頼するようにしましょう。

どうしても不安な方は「ホームインスペクション」という住宅を点検してくれるプロがいるので、そちらに依頼すると良いと思います。
グリーンアップホーム
e-LOUPE(イールーペ)
さくら事務所ホームインスペクション

この3つの中では一番「さくら事務所」が手広く、実績経験も豊富なので、さくら事務所に依頼するのが良いでしょう。

③仕様や間取りは予め決まっているので、間取り、仕様の変更は原則難しい
メリットの⑨でも少し書いていますが、大体の建売に関しては間取りや仕様は固まっているので、基本的に受け付けることは難しいです。

その分金額が安く抑えられているのが建売のメリットですし、仕様の変更や間取りの変更を依頼するのであれば最初から注文住宅で建築を依頼した方が良いでしょう。

④セキュリティー面が弱い
建売だとオートロックや監視カメラなどは基本的にはついていないので、もし付けるのであれば買主の負担となります。

建売でも玄関扉を変更したりということもできなくはないですが、もしセキュリティーが心配だという方はマンションや注文住宅で自分仕様の家に改造した方良いと思います。

その分庭があったり、マンションにはない車庫がついていたりと建売にも良い面があるので、天秤にかけた時にどっちの方が良いかという所ですね。

⑤地震や災害に対して弱い
建売は基本的に木造で建築されることが多く、鉄骨、鉄筋は使わないことの方が多いです。その為、万が一に備えて火災保険への加入は必須と言っても良いと思います。

地方に行くと台風や土砂崩れ、津波などで建売が倒壊している所があると思いますが、木造なので、災害にはどうしても弱いです。

耐震診断はしてないにしても、「耐震強度はどれくらいを想定しているのか」は施工会社の方である程度考えて建築しているはずなので、もし心配な方は購入前に施工会社や仲介を通して聞いておくことをお勧めします。

⑥分譲地内での建物の距離が近い。隣りの家の声が聞こえる可能性もなくはない
建売でも1棟建築ではなく、1区画の土地を分譲してその土地に対して何棟か建てるというパターンもあります。その際に分譲地内の建物同士を寄せて建築している事があり、隣りの家の声が聞こえやすい事もあります。

賃貸と比べると少ない方ですが、窓があるので、開けたりすると声はどうしても漏れてしまうので、仕方がないことではありますが購入する際に気にする人もいます。

特に江東区、墨田区、北区辺りはどちらかというと地域柄建物と建物との間が近い傾向にあるので、地域の慣習に従い施工する会社も寄せて建築していることが多いかもしれません。

反面、世田谷区、江戸川区、杉並区、武蔵野市、三鷹市辺りは土地の最低敷地も定められているので分譲する際の1区画当たりの土地の大きさも大きく、地区計画などで建物間は空いている傾向にあります。

⑦敷地一杯に建築することも多いので、近隣との距離が取れずに日当たりが気になるという人もいる
⑥の話とも繋がってきますが、限られた土地の中で建物をできるだけ大きく建築して大きい間取りを取ろうと建築すると、敷地目いっぱいに建てるので、隣地との距離は近くなります。

その為、どうしても分譲地内の建物と建物との間は日当たりは悪くなってしまいます。そもそも日が入る前提でいない方が良いかもしれません。

特に敷地延長と言われる建売に関しては奥まって建てられているので、かなり日当たりは悪くなります。

⑦設備関係が安価になりがち
施工会社に寄っての所ではありますが、基本的に設備関係のグレードはそこまで高いものを付けずにその分、売買価格を抑えて出しているのが、建売会社の一般的な形です。

万人受けを狙って建てられることが多いので、仕様も外壁の色も奇抜なものは基本的に使わないのが建売です。

建売住宅を購入する時の注意点

  • 災害が多いエリアではないか。床下浸水、川の氾濫、近隣関係。
  • 設備、仕様関係、色の変更が可能か
  • 車庫の大きさを確認
  • 窓の位置関係

災害が多いエリアではないか。床下浸水、川の氾濫、近隣関係
基本的に仲介の人が確認しているとは思いますが、ハザードマップは特に気を付けてみておいた方が良いかもしれません。

ハザードマップは洪水、土砂災害、高潮、津波、などをまとめたマップです。これで過去にどの辺りで災害があったのか確認ができるので、対策にはなりませんが、考慮して購入するのと考慮して購入しないのでは大きな違いがありますからね。

集中豪雨などは載っていないこともあるので、役所に聞いても良いかもしれません。
ハザードマップ

設備、仕様関係、色の変更が可能か
建物が完成していたら難しいとは思いますが、建築中の場合には場合によっては変更が可能な事もあります。

変更ができるのであれが自分の好きな色に建具の色を変更したり、床の色を変更したり、キッチンの色を変更をしたりできるので、建売だとしても少しアレンジが可能な場合があります。聞いてみる価値はあるでしょう。

車庫の大きさを確認
ここは要注意な所です。どのくらいの大きさの車が入るのか想定して建築していますが、実際の車庫入れはできないので購入してから初めて車庫入れをすることになります。

もし車庫も余裕を持って設計されていなかった時には予定していた車が駐車できなくなってしまうので、確認しておいた方が良いでしょう。

窓の位置関係
基本的に相対しない様に隣地とは窓の位置をずらして設計していると思いますが、重なっている所を購入後に知るよりも事前に確認して、どの部屋をどの様に使うか考えられた方が良いので事前に確認しておいた方が良いでしょう。

合わせてすりガラス(曇りがらず)になっているかの確認もした方が良いです。相対している場合には見えない様にすりガラスにして設計していると思います。

すりガラスにしていれば位置はわかったとしても、顔が見えることはないので、安心して住むことができるでしょう。

建売、注文住宅、マンションと結局どれが一番良いの?

僕の結論としては、「賃貸」です。建売でも注文住宅でもマンションでもないです。

なぜなら日本は地震が多過ぎるからです。

全て倒壊してしまえばローンを組んで購入して万が一倒壊してしまったら元も子もないです。もしくは万が一倒壊しても痛くない程度の損害で済む様に、購入費用の安い地方に戸建てを建てます。

例えば子供が成人して独立したら戸建てを購入して地方で住むとかは有りだと思います。ですが、地方は交通の便が悪く、万が一病院や買い物などの看病が必要になった時には圧倒的に都内の方が直ぐに駆け付けることができるので、そういう点も考えると賃貸で良いのではないかと思います。

できるだけ費用をおさえたいなら「建売」、もっと自分なりにアレンジしたいなら「注文住宅」、都内の見晴らしの良い所に住みたい、地震にある程度強く、セキュリティー面を考えるなら「マンション」こんなイメージではないでしょうか。

今回は以上になります。参考になれば幸いです。